私とキンカン
出会いは古い。
5歳に満たないまだ記憶もおぼろげな頃、幼馴染が愛用していたのがキンカンだ。虫刺されに垂れる程塗りたくり汗と泥で混ざっていた。ムヒもとことん愛用し、池田和光堂の歌もよく歌っていた。そのせいか高校野球は池田高校を応援していた。いま思い返せば虫刺され薬業界の申し子の様な存在だった。
私も彼に影響され、一応はキンカンを買ってもらって薬箱の中に入れておいたがほぼ使ってなかった。以来 薬箱の中には常にある存在だが、ほとんど誰も使ったことの無い木偶の坊として君臨していた。
時は経ち八百屋として再びキンカン(金柑)に巡り合った。キンカン=キンカンである。いや金柑である。キンカンの主成分なり、抽出成分はもちろん金柑を使っている自然由来の、昔からある民間薬だと勝手に思い込んでいた。
先ほど調べたキンカンを作っている会社。どうやら渋谷の三軒茶屋にあるようだ。
私のイメージ的には、地方の人口10万人くらいの田舎街だが周りの自治体に比べたら都会な街に昔からある薬屋が大きくなった会社だった。
高度成長期には自社工場周辺で公害騒ぎも起こし、地域住民からの立ち退き運動で工場は湾岸の工場地帯に移転した。5代目の若社長は白いカッターシャツに短髪、環境に優しい企業イメージとクリーンさを売りにする安定した優良企業・・・。これは全て私が築き上げた幻想だったのだ。
真っ先に気付いたのは漢字が違うじゃん。。
僅かな期待をもって成分表を見ると、トウガラシチンキで皮膚感覚を麻痺させる&メントールでスーっとさせる薬だ。金柑などどこにも入っていない。
これは完全な私の勘違いだった。すいません。
宮崎産のキンカン有名品種「タマタマ」
以前売り出すにはネーミングが大切!という記事を書いた
ターサイ?タアサイ?ターツァイ?→ 【新名】 ミステリーサークルにしよう!
「タマタマ」これはナイスネーミング。
かわいいし笑いもある。ギリギリセーフだ。
セクシャルでアンタッチャブルなところに可愛いと笑いで切り込むのはとてもいい。
迷わず行けよ行けばわかるさ
ついでに食べ方もなんとかパッドで調べてみたが、碌な食べ方がない。砂糖漬け、ジャム、生食。。。。
まだまだ私たち日本人は食への探求心が足りない気がする。もしくは素材そのもののおいしさを楽しむのが一番という文化がそうさせるのか。
この素材、工夫次第でさらに美味しくて面白くなって食文化が豊かになるんじゃない?って思う。
梅を例に挙げると、熟した梅は芳醇すぎるほど素晴らしい香りがする。しかし、生で食べると体に害があるとしか思えない味だ。刺激的過ぎる。
しかし梅を丹念に塩づけし干しシソを入れ梅干しに加工すると非常においしいではないか。日の丸弁当、梅干しのおにぎりはもはや国民食だ。青梅を梅干しにするまでの道のりは決して平坦では無かっただろう。
カリンなどは使い道がカリン酒くらいしかないが、独特な甘い臭いは非常に良いので食べ方の加工法次第ではポテンシャルは高い。
話を戻してキンカンだ。生でかぶりつける稀な柑橘類だが、3つも食べれば口の周りがピリピリとしてきてしまう。加工だ。やはり加工しかない。
中身が種も多くて酸っぱいのでいっそこのと捨ててしまおう。
そしてその中にあんこを入れてキンカン饅頭にしたらどうだろうか。
宮崎産のタマタマを使った「タマタママン」素晴らしい!
→ググったら既にめっちゃあった!笑