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去年、原木しいたけを10本くらい仕込んだ。
2018年の1月のはなしだ。
野菜の集荷トラックを走らせていると、広葉樹の山の木を一部のみ全て切り倒した異質な空間を発見した。周りに民家は無く、鬱蒼と広葉樹が生い茂っているがそこだけポッカリと空いてしまっている。
家の薪ストーブの燃料と、風呂用の薪にもらいたいなあと思い誰かいないか覗いて見ると、奥の方で老夫婦がたき火をしていた。
急いでトラックを端に寄せて停車し、小走りで走り寄り切り倒した木を貰いたいと話した。
すると驚くほどすんなりとはなしは纏まり、ゲートの開閉方法まで教えて頂き丸太貰いたい放題の夢の様だが運搬を思うと手に汗握る複雑な感情がこみ上げた。
その日から常時車にチェーンソーを積んで、仕事が早く終わるとはげ山に向かう生活が始まった。
丸太をチェーンソーで玉切りにし車に乗せて帰り、休みの日には斧で朝から薪割をして全長20m近く薪の壁が出来上がった。
その副産物として直径10~15cmほど、長さ1mくらいのしいたけ栽培に適したクヌギの原木を10本ほど手に入れた。
3月くらいに成形菌(しいたけの発生が早い)と駒菌(しいたけの発生が2年くらいかかる)を原木に植菌した。
3月にもなると、ホームセンターでも原木しいたけグッズは半値以下となり売り切りセールまっただ中になる。植菌のタイミングは遅いお金をなるべくかけたくないので嬉しい限りだ。
春は水をかけた後にシートをかけて菌をまわらせる
地面に原木が触れないようにして積み上げ、1週間に一度くらいの頻度で水をかける。段ボールを濡らして覆い被せ、その上に厚手のシートで更に水分が蒸発してしまわないようにした。
その後薄暗い風通しの良い石垣に立てかけて秋を迎えた。
ここまでしいたけの発生はもちろんゼロだ。
半年後、晩秋には原木しいたけがあがり始める。
11月の終わりか、12月に入ってくらいだったと思う。
原木栽培しいたけの出荷が多くなってきたころ、思い出したように我が家のほだ木も見に行ってみると、1本のほだ木からお化けの様に笠が開き切った巨大しいたけが3つ発生していた。
それっきり12月は発生することはなく、他のほだ木もウンともスンとも言わず年を越してしまった。
正月も終わり鏡開き、1月11日の早朝。
久しぶりにほだ木を見に行って見ると、なんと小ぶりながら形の良いしいたけがあがっていた。こんなに寒いのに発生するものなのかと目を疑った。
石垣を降り近くに寄ってよく見てみると、ドーム状の形の良い笠には霜が降り真っ白になっていた。
感激のあまり小ぶりだったが即収穫し、刻んで朝の味噌汁の具になった。